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ワリエワは無冠で“強制引退”か…悲劇の15歳も使い捨てるロシア・フィギュア界の深い闇 2/18(金) 11:45配信 日刊ゲンダイDIGITAL
無冠のまま、氷の上から去ることになるかもしれない。
17日のフリーで何度もジャンプミスをするなど、141.93点で、82.16点のショートプログラム(SP)と合わせて4位となった、ロシア・オリンピック委員会(ROC)のカミラ・ワリエワ(15)。金メダル候補といわれながらもドーピング疑惑で世界中から批判を浴びただけに、平静なスケーティングができなかったのだろう。演技後は両手で顔を覆い、キス&クライでも涙で顔を歪ませていた。
そんなワリエワに待ち受けるのが、ロシアの「切り捨て」ではないか。
今大会に出場したワリエワ、トルソワ、シェルバコワを指導するエテリ・トゥトベリーゼ・コーチは通称「鉄の女」。厳しい指導のみならず、スケート場を「工場」、選手を「原材料」と表現する。その言葉に従えば、ワリエワは「製品」だろう。つまり、ドーピングという「いわく」がついた「製品」は、もはや用済みになっても不思議ではないのだ。
そもそも、近年のロシアのフィギュア選手は、五輪に限れば1大会限定の「使い捨て」が多い。2018年の平昌五輪金メダリストのザギトワはまだ19歳ながら、今季の強化指定メンバーから除外。現在はインフルエンサーとして、テレビ番組の司会やモデル、タレントとしても活躍し、北京五輪も取材で訪れている。
ラジオノワ「16歳は決して若くない」と衝撃発言
ザギトワに加えて同じく平昌銀のメドベージェワ、14年ソチ五輪金のソトニコワも、五輪に出場したのは1回のみ。ただでさえ選手寿命が短く、それでいて候補となる「原材料」は山ほどある。世界選手権で活躍したラジオノワは15歳の時、「私はもうすぐ16歳だから、決して若くはないんです」と発言し、衝撃を与えた。
ロシアのアスリート養成施設「サンボ70」は国家の全面的な支援を受けている。つまり、すべてにおいて政府の息がかかっているも同然なのだ。
ワリエワが表彰台を逃したことで、予定通りメダル授与式も行われる。ロシアにとっても、これ以上の波紋を広げずに済んだ。
ワリエワのドーピングがシロかクロか、本人が現役続行を希望するか否かにかかわらず、このまま表舞台から消える運命だとすれば、返す返すも恐ろしい国である。 |
この日、演技を終えて動揺した様子でリンクから戻ってきたワリエワを最初に出迎えたエテリ・トゥトベリーゼ(Eteri Tutberidze)氏は「なぜあきらめたの? なぜ戦いをやめたの? 説明して」と詰問。
これはテレビが音声を拾っていることを承知の叱咤だと思います。
何故なら、ロシア反ドーピング機関(RUSADA)がいったんドーピングを認めながら、すぐに解除したことです。
これは、「なんとしてもワリエワに金メダルをとらせろ」というメッセージだからです。
金メダルを逃したら自らの地位も危ないからです。

同じくトゥトベリーゼ氏が指導するROCのアンナ・シェルバコワ(Anna Shcherbakova、17)とアレクサンドラ・トゥルソワ(Alexandra Trusova、17)はそれぞれ、金と銀メダルを獲得した。
競技の終了直後、ロシア陣営では感情が高ぶる場面があった。トゥルソワは怒りをあらわにし「このスポーツが嫌い。もう氷上には行かない」と声を荒らげた。その後、落ち着きを取り戻したが、競技引退については否定せず、「今後についてはよく考えてから決めたい」と記者団に語った。
17歳のトゥルソワが銀メダルをとりながら「このスポーツは嫌い」といった意味は深いと思います。
この成績はロシアが描いていた成績とは違うからです。
ロシアにとって、スポーツは歴史的に、国威発揚を図り、米国やほかの先進国と伍して負けない大国であることを世界にアピールする手段として用いられてきた。
五輪でメダルを獲得すれば、家や就職口も政府から供与され、一生が安泰という保証がなされるのだ。





